きまぐれ日誌

2022.03.05

子どものコロナウイルスワクチンについて

先日受診されたお子さまのお母様から、この気まぐれ日誌を楽しみにしていただいているというお話をいただきました。こんな気まぐれな拙い文を読んでいただきありがとうございます。また時間を見つけて書いていきたいと思います。

さて、今回は真面目な話しです。もうすぐ5~11歳のお子さまのコロナウイルスワクチン接種が始まる予定となっております。接種するべきか悩んでおられる親御さんも多いかと思いますので、参考になるかわかりませんが現時点での状況を書いておこうと思います。

まず、日本小児科学会が発表した声明を大まかにまとめますと、

①少ないながらも小児のコロナウイルス感染者に中等症は報告されている。

②外国の治験ではワクチンの有効率は高い(オミクロン株に対してはデータがまだあまりない)。

③副反応は大人と同様に局所の痛みや発熱などがあるが、5~11歳では16~25歳の世代よりもむしろ軽いくらいで、約0.25%の割合で生じた心筋炎の副反応も軽度で全員回復した。

これらの理由から接種する意味はある、特に基礎疾患のあるお子さまは優先的に接種した方が良い、という見解のようです。

これに現時点での私の個人的な意見を入れていきますと、まずはコロナウイルスに実際に感染して免疫を獲得したであろうお子さま(特に最近)は接種しなくてもいいのでは、ということです。大人では感染の既往があっても免疫を高めるために接種が勧められていますが、小児ではもともと軽症が大半であることと、ワクチンのリスクを考えたときに積極的に接種を勧める理由が私には見つかりません。

次にワクチンの長期的な悪影響をご心配されている方も多いかと思います。これに関しては正直言ってわかりません。このRNAワクチンは遺伝子の成分を注射するわけでそれが長期的に影響するか不安な方がいらっしゃると思いますが、理屈で言えばこの成分は体内で酵素の働きで分解されて短期間でなくなってしまうことになっています。そもそも超低温で保存しないとすぐに壊れてしまうような成分なので、体内で長期間にわたって残存して何か悪影響を起こすとは考えにくいとは思います。しかしながらこのシステムを用いたワクチンが今までになかったので、はっきり言うと長期的な影響に関しては誰にもわからないと思われます。

最後に、これも誰にもわからないことですが、今までのコロナウイルスは重症化率の高かったデルタ株は子どもにはあまり感染しませんでしたがオミクロン株になって重症化率は低いものの子どもにも感染しやすくなりました。今後子どもにも感染しやすくて重症化率も高い変異株が絶対に出てこないという保証はありません。もしそのような変異株が発生したときに慌てて接種しようと思ってもすぐには受けられないかもしれません。であれば落ち着いて受けられる今のような状況のあいだに接種しておく方が無難なのかもしれません。

本当はこのまま感染はするけれども重症化はほとんどしない、つまりただの風邪になっていくことを願っています。ワクチンについてはご家庭でよく相談されて、お子さまとも話し合って決めていただきたいと思います。

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