千葉県や関西空港などでのはしか(麻疹)の発生がマスコミに採り上げられています。騒がれている通り、はしかは重くなることが比較的多い感染症で、感染力も強いので注意が必要です。予防接種がなかったその昔は、はしかのことを「命さだめ」と呼んだそうです。つまり皆がかかるこの感染症を生き延びた子どもがその後の命をまっとうでき、逆にそこで亡くなってしまう子どもはそういう運命であったと諦めるしかなかったのでしょう。もちろん現在でもはしかにかかればかなりの割合で肺炎にはなるし、時にはもっと重症な合併症を来すこともありますが、「いずれも軽症」などと報道されているように、高率に命に関わるというものではありません。
10数年前に山梨でもはしかの流行がありました。その時勤務していた病院の近くの高校では、学校側が調べたところ約30%の生徒が予防接種を受けていなかった(今考えると接種率低すぎですね)とのことでしたが、流行が終わってみたらその30%のほぼ全員がはしかに罹患していたそうです。感染力の強さにも驚きですが、逆に言えば予防接種で大多数は防げた、ということでもあります。
今、26歳から39歳くらいのはしかの予防接種が1回だった世代が危険と言われていますが、1回でも受けていれば基本的には免疫はできているはずで、中にはしっかり免疫がつかなくて、もしくはできたけれどもその後弱まってきて発症してしまうことが時々ある、というレベルの話です。一番危険なのは1度も接種していない子どもたちです。今回のようなときに慌てないですむように、1歳になったら速やかに麻疹風疹ワクチンを受けていただくことをお勧めします。